コンサルタント弁護士・籔本恭明(やぶもとやすあき)
経営の視点
経営の視点
医師の長時間労働
医師の長時間労働
作成:2017年6月2日(金)
残業時間の上限規制から、医師は対象外となる。
これは、医師法19条に「応召の義務」あるからだとされている。
医師は、正当な理由がなければ受診の申し出に対して断れないから、残業時間の上限規制になじまないというのだ。

確かに、千葉地裁や神戸地裁で、応召の義務に違反したからということで損害賠償を命じられて事例はある。
しかし、これらは、例外的な事案であって、本来医師法19条の応召の義務は、行政法上の義務であって、患者からの診察の申し出を断っても、原則、刑事罰も損害賠償の対象にもならない。
したがって、医師法19条を根拠に医師を長時間労働規制の対象外にすることは筋が通らない。
これを根拠つけるには、医師には労働者性とそれ以外の要素があると認めるしかないのではないか。

医師に限らず労働人口が不足しているのであるから、本来、長時間労働規制を強化するべきでないという考え方も成り立つ。
ペストによって人口が激減した農奴の賃金が上昇し、これが領主の経済力低下をもたらし、農奴解放に繋がったわけだが、今回の長時間労働規制の目的は、労働人口減少にあえて拍車をかけて、労働賃金上昇に繋げようという魂胆ではないか。
つまり、医師に関して長時間労働の規制対象外にしたのは、医師の賃金上昇を防ぐため、と考えることが論理的だと思う。


  このエントリーをはてなブックマークに追加
経営の視点に関する詳細や関連記事はこちらに御座います。併せて御覧ください。