コンサルタント弁護士・籔本恭明(やぶもとやすあき)
経営の視点
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事業承継(その24)スリーサークル・モデル
事業承継(その24)スリーサークル・モデル
作成:2016年5月6日(金)
事業承継(その24)スリーサークル・モデル
 大規模公開会社では、所有と経営が分離
 バーリーとミーンズが「所有と経営の分離」を説いたように、一般企業では、「所有」と「経営」とから成り立っていると言っていいでしょう。
企業の間接的な所有者である株主が、経営に関心を持たなくなり、専ら、配当と株価に関心が集中するに至れば、もはや、株主には経営などという厄介な仕事はできません。
バーリーとミーンズが想定した大規模公開会社においては、経営に素人である所有者である株主は、経営の専門家に経営を任せるようになるものです。
大規模公開会社では、企業の構成要素である所有と経営が分離されるのが常態となります。

所有と経営と家族、そしてこれらは分離せず
ところが、ファミリー企業においては、大規模公開会社のように、所有と経営は分離されません。そして、「所有」と「経営」の他に、「家族」という要素がきわめて重要になってきます。
ファミリー企業を考察する際には、「所有」「経営」「家族」の3つの要素を分析しなければなりません。
所有と経営と家族は分離せず、それぞれの要素に対して相互に影響を与えているダイナミックな関係に立ちます。この3つの要素は、時に相反作用を及ぼし、時に相引作用を及ぼし、時に相乗作用を及ぼしています。不即不離でありながら緊張関係に立っているのです。
ファミリー企業研究の分野で最も有名な理論は、ジョン・デービス教授のスリーサークル・モデルです。これは、所有(オーナーシップ)、経営(マネジメント)、家族(ファミリー)の3つの構成要素とそれらが相互にオーバーラップした領域ごとに、問題を整理していくものです。
 ファミリー企業の経営においては、一般企業の構成要素と共通する「所有と経営」に加えて、「家族」という要素が加わるために、その扱いは大層複雑に複雑になってきます。

 企業の存在理由
 企業には必ず存在理由があります。存在する意義、レゾンデートルです。
企業は、顧客に価値を提供し、雇用を創出し、働いている人に生き甲斐を与え、税金を納め、社会に貢献する存在です。
企業の存在理由に照らして、同族で経営することが望ましければ、同族によって経営すればよいのです。
非同族で経営することが企業の存在理由に照らして望ましいならば、非同族によって経営すればよいのです。
社会にとって何ら存続する理由の無い企業であれば、ファミリー企業であっても、非同族企業であっても、社会から退場してもらってかまわないと思うのです。

 経営者の意志
 経営の核心は、経営者の意志です。
経営する意志がなければ、いずれその企業は市場から撤退するしかありません。
ファミリー企業として同族で経営したほうが社会に貢献できると確信しているのならば、同族が承継できるように本気で準備しなければなりません。
これがファミリー企業経営者の義務であると思うのです。

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