コンサルタント弁護士・籔本恭明(やぶもとやすあき)
経営の視点
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事業承継(その23) ファミリーが経営に関与する形態と多様性
事業承継(その23) ファミリーが経営に関与する形態と多様性
作成:2016年5月4日(水)
事業承継(その23) ファミリーが経営に関与する形態と多様性
 ファミリーが経営に関与する形態にはいくつか考えられます。
第一に、ファミリーが、直接経営の主体になる形態です。
第二に、ファミリーが、直接経営の主体とはならず、経営のお目付け役としてガバナンスに関与する形態です。
第三に、ファミリーは、直接経営に関与せず、ガバナンスについても直接には口を出さず不動産収入や資産運用収入にのみ関与する形態です。
ファミリーの経営関与の形態は、どのような経営が望ましいのか、業界環境等経営環境、人材、企業風土、同族から経営人材が輩出されているか、同族の求心力、同族で所有する持分の割合、黄金株の有無等によって違ってきます。

 家族類型の影響
 エマニュエル・トッドは、ヨーロッパの家族構造・遺産相続などを精査した結果、ヨーロッパの思想・イデオロギー・宗教・政治制度の多様性は、家族類型の多様性に求められるとの仮説を立てました。
 トッドはこの仮説に基づいて、アングロ・サクソンの家族構造は、自由主義思想に適合し、フランスの家族構造は、平等主義思想に適合すると言っています。
 同様に家族構造によって、ファミリー企業の態様にも多様性があると考えらます。。
 トッドの仮説に従えば、家族に対する観念が変化し、家族構造が変化すると、ファミリー企業の在り方にも変化が生じることになります。
 家、家業、家督、家名などに対する思い入れが希薄になってくると、相続人が家業を承継しなければならないと義務感は薄れてくるでしょう。
 戦後、憲法が新しくなり、「イエ」が解体され、「個人」が全面に押し出されてきましたた。
一方、個人には寿命がり、必ず死が訪れます。
 事業はゴーイング・コンサーン、つまり継続企業を前提としていますが、その持分・株式は最終的には、必ず死を迎える「人」に帰属しているのです。
 人が亡くなれば、企業の持分・株式は財産として相続人に相続されていくことが原則です。
 しかし、家族構造が変化して相続人の意識が変化すれば、事業承継への思い入れは薄れることもあるでしょう。
 また、相続人が事業を承継する意識が希薄であれば、被相続人も、同族への承継以外の選択肢を検討せざるを得なくなるのです。

 100社あれば100通りの解答
 ファミリー企業には、様々な規模、様々な形態があります。さらに、人間関係、家族関係が多様化し、家族構造が変化すれば、事業の運営、成長、承継についても、様々な工夫が必要となるでしょう。
 決まった教科書的な対応ではなく、家族関係、資本関係、経営実態、業界構造、番頭の力量等を考慮して、きめ細かい準備が必要となってきます。
 ファミリー企業が継続的に成長するやり方には、100社あれば100通りの方法があるといっていいでしょう。
いつ、誰が、誰を対象に、何を、どのようにするかは、家族関係、資本関係、経営実態、業界構造、承継者の力量、番頭の力量等、種々の要因によって事業承継のための道具の使い方は異なってくるのですが、少なくとも5年以上、規模によっては10年以上の承継準備期間が必要です。

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