コンサルタント弁護士・籔本恭明(やぶもとやすあき)
経営の視点
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事業承継(その16)行動を規定するのは人間の心理である
事業承継(その16)行動を規定するのは人間の心理である
作成:2016年4月24日(日)
事業承継(その16)行動を規定するのは人間の心理である
 近代経済学の通説では、財から得られる心理的効用によって行動すると仮定されています。
 しかし、株式という財から得られる経済的利益よりも何よりも、株主たる権利を行使して自分の子息を役員にしたいと思うことは自然ではないでしょうか。
 ときに、財産を犠牲にしてでも、息子に仇した役員を排除すること散見されることもあるでしょう。
 経済的に財から得られる利益よりも、このようなかたき討ちの方が、心理的効用が大きいこともあるのが人間ではないでしょうか。
 人間が、財から得られる心理的効用に配慮して行動するとしても、心理的効用の源泉は経済的要因だけに限らないのです。
 経済的要因以外にも心理的効用に影響する要因はいくつもありますし、経済的要因以外の要因の方が大きく影響を与えることも少なくありません。
 渋沢栄一は、「国家に必要なる事業は利益の如何をば第二におき、義において起こすべき事業ならばこれを起こし、その株も持った。この株は騰貴るであろうからと考えて株をもったことは未だかつてない」と言っています。
 現代でも企業のCSR活動に影響されて株主となる人もいます。
 このように必ずしも経済的利益だけで株主の行動は説明できないと思うのです。
 心理的効用の大本は、「好き」「嫌い」の判断であり、経済的利益はほんの一部分です。
 好きか嫌いか、愛か憎しみかで、人の行動は左右されるものです。
 愛のためなら、千里を走り会いに行くこともあるのす。
 ファミリーであるが故に愛憎劇が生まれることもあります。
 自分の経済的利益を犠牲にしてでも、子供に事業を継がせたいを願うことは、むしろ普通の親としての情なのではないでしょうか。

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