コンサルタント弁護士・籔本恭明(やぶもとやすあき)
経営の視点
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事業承継(その12)同族所有比率と業績の関係
事業承継(その12)同族所有比率と業績の関係
作成:2016年4月17日(日)
事業承継(その12)同族所有比率と業績の関係
ファミリー企業に関するある調査では、同族による所有比率が一定程度高まると業績は上昇するが、所有比率31.0%を頂点として業績が下降するということです。
もっとも下降後も非ファミリー企業の業績を上回っているというのです。
このようにファミリー企業において31%の所有比率が最も業績が高い原因に関して、いくつかの仮説が考えられる。
ファミリー企業が、非ファミリー企業よりも業績が良好な理由はいくつかあります。
このうち所有比率と関連する項目としては、「強固なコミットメント」、「エージェンシーコストが低い」、「血族・ヒエラルキーによる決定」、「模倣の困難性」、「所有と経営の安定による意思決定の熟練」、「長期業績重視の視点」、「低配当・積極投資」が挙げられます。
ファミリー企業において一定の所有比率に到達するまで、業績が上昇するのは上記の理由が妥当すると考えられます。
それでは、ファミリー企業で所有比率が一定以上高くなると、業績が下降するのはなぜなのでしょうか。
所有比率が上がれば上がるほど、コミットメントは強固になるし、エージェンシーコストは低くなり、ヒエラルキーによる決定は絶対的なものになるし、模倣はますます困難になるなど、上記の業績が良好な理由から考えると、ますます業績は良くなりそうです。
所有比率が一定以上になると業績が低下すると考えられるのは、「属人的すぎる投資の意思決定」、「近過ぎるファミリー間のコンフリクト」、「硬直的・排他的文化のために従業員の能力が発揮されない」「人事の不平等のため優秀な人材が集まらないか、意識的に集めない」、「ガバナンスの欠如」、「承継対策のため業績が上がらない」、「承継対策のため意識的に業績を上げない」などの理由が考えられます。
ファミリー企業の中には、短期的な成長や短期的な業績よりも、企業の継続に重きを置くものもあるのです。
中期的業績よりも、長期的な企業の継続のために、承継候補者に対する教育投資に重きを置くことも考えられます。
例えば、社長候補者に一つの事業部を任せ、当面業績が上がらなくても経験を積ませるために、当面赤字覚悟でやらせてみることもあり得ます。
また、もし現在の業績を絶好調ですと、企業が巨大化し、株式価値が膨れ上がり、その結果、株式が分散される危険があります。
非ファミリー企業になってしまうことを避けるために、敢えて業績を急成長させないのかもしれません。

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