コンサルタント弁護士・籔本恭明(やぶもとやすあき)
経営の視点
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事業承継(その11)ファミリー企業の経営効率
事業承継(その11)ファミリー企業の経営効率
作成:2016年4月16日(土)
事業承継(その11)ファミリー企業の経営効率
ファミリー企業には、多くの長所が見られます。
実は、日本及びアメリカ等諸外国のファミリービジネスは、経営効率の観点からも優れているのです。
倉科敏材編著「オーナー企業の経営」(中央経済社)第1章「オーナー企業は今」(p5からp20)、及び、階戸照雄執筆第5章「欧米のオーナー経営の特性」(p67からp110)は、ファミリー企業が非ファミリー企業よりも経営効率が優れていることを示しています。
同著によると、アンダーソン=リーブは、2003年の論文で、アメリカS&P500社において、ファミリー企業は35%を占め、全発行株式の18%に及ぶことを示し、ファミリー企業がアメリカ経済において重要な位置を占めるということです。
同様に、ファミリー企業は非ファミリー企業に比較して、ROA(総資産利益率)や「トービンのQ」(資産の時価に対する株価総額の比率)のどちらにおいても高い数値であるということです。
特にファミリー企業が30%を上回る議決権を有しているケースでは、ファミリー企業の業績の良さが顕著であるというのです。
ROAの高さの理由として、特にこれらのファミリー企業において、ファミリーメンバーがCEOのポジションに就任しているためではないかと推論しています。
これは、そのような企業においてはファミリーが事業をより理解しており、Steward(番人)のような思いで、自分の企業を見ているためと説明しています。
また、ファミリー企業における経営と所有の安定性は、経営トップに意思決定の熟練度をもたらし、また従業員との密接なつながりも生み出しますが、これは長期的に安定した経営と所有の下で、ファミリー企業が従業員のことをより理解して、サポートし、翻って従業員のロイヤリティを得るからだとしています。
コリンズ=ポラスが「ビジョナリー・カンパニー」の中で取り上げた18社のうち7社は、創業家によって経営されているファミリー企業です(Ford、Johnson & Johnson、Marriott、Motorola、Nordstorm、Philipp-Morris、Wal-Mart)。
アルーシュ=アマンによると、フランス主要企業1000社の60%がファミリービジネスであり、ファミリー企業が成長率や総資産利益率、株主資本利益率でも非ファミリー企業に勝っているということです。
ガロ=ビラセカによると、スペインでも、ファミリー企業が非ファミリー企業に比較して、総資本利益率で、8.8%対3.3%、株主資本利益率で、27%対6%とファミリー企業の優位性が際立っているということです。
ドイツでも上場企業の50%がファミリービジネスなのです。
2007年4月「日経ベンチャー」誌と甲南大学の倉科敏材教授が行った調査の結果、日本のファミリー企業も、利益率と資本効率が非ファミリー企業よりも高いのです。
 このように見ていくと、ファミリービジネスの方が、それ以外の企業よりも経営効率が高いと言えるのです。
 つまり、ファミリー企業は当然、これ以外の企業であっても、ファミリー企業を研究する価値は大きいと言えるでしょう。

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