コンサルタント弁護士・籔本恭明(やぶもとやすあき)
経営の視点
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事業承継(その8)コミットメント
事業承継(その8)コミットメント
作成:2016年4月8日(金)
「日本の経営」を著したジェームズ・アベグレンは、日本的経営の特徴として、「終身雇用」「年功序列」「企業内組合」を挙げました。
実は、彼が言う「終身雇用」は、lifetime employmentの訳ではなく、lifetime commitmentの訳なのです。
アベグレンが言う日本的経営の特徴の一つである「終身雇用」は、生涯労働者を雇うという意味合いではありませんでした。
むしろ、戦前の日本で、生涯労働者を雇用し続けるほどの余力のある企業は多くなかったのです。
アベグレンのいう「終身雇用」とは、経営者は労働者を家族のように処遇し、労働者は自分の人生をかけて仕事をする、人生をかけて仕事にコミットするという意味あいだったのです。
「アメリカでいえば家族の一員や、友愛会などの親密で個人的な集団の一員であるのと同じような意味合いで、従業員は会社の一員なのである。」(アベグレン「日本の経営」)
ファミリー企業の経営者層の多くは、まさしくその人の生涯にわたって、つまり、lifetimeにわたって、事業にコミット(commitment)しているのです。
終身、否、自分の命が潰えても次の代の者が、さらに次の代の者が、事業にコミットすることを当然だと考えていたというのファミリー企業の特長なのです。
バーリーとミーンズが、「所有と経営の分離」を言いましたが、実は、ファミリー企業の同族経営者が事業にコミットする理由の一つは、所有と経営とが分離していないからなのです。

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