コンサルタント弁護士・籔本恭明(やぶもとやすあき)
経営の視点
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ピケティの「21世紀の資本」
ピケティの「21世紀の資本」
作成:2015年1月31日(土)|更新:2015年2月2日(月)
巷ではピケティの「21世紀の資本」が耳目を集めています。
要するに、経済成長率より資本収益率の方が高い、従って経済的格差が広がる、そこで資本に対する国際的な累進課税が必要だ、というものです。
経済成長率より資本収益率が高い理由については明確になっていません。
考えられる理由は、
第一に、資本を持つ人間は資産管理人、すなわち、子孫が上手に資産管理できるよう教育を施すからだと考えらます。
第二に、資本を持つ人間はこれから成長する分野に資産を投資するからだと考えられます。
第三に、資本を持つ人間は、富の増やし方を知っているからだと考えられます。越王に仕えた范蠡(はんれい)は、権力の絶頂にいてその地位を捨て経済人として富を蓄積します。范蠡(はんれい)は「日照りのときには来るべき水害に備え水害を予測して舟を仕入れる。先先を見越して手を打つのが経済の妙だ。」と言って、19年の間に千金の巨富を三度積み、そのうち二度は富を貧しい友人や遠縁の者に分け与えた。老いた後は、稼業を子供に任せますが、子供達も仕事のコツを身につけて更に身代を広げます。
こう考えると、累進課税も然ることながら、正しい資産教育と経済教育が必要なのが分かります。
問題は、資本を持つ人間が、インサイダー的な情報を得て儲けていると邪推されていることです。
富を持つ人間には、権力者が集まります。すると、ここで我々一般庶民が知ることができない情報を入手して、これで富を増やすているのではないかと疑われるのです。古くは、ライト・ミルズのパワーエリートという本に、政治家と経済人との強行な結託が生まれる過程が描かれています。このような結託がなくても、政治過程に身を置いた人は、国の予算を見ると、これからどの株が上がるか分かるようになると言います。
富が増殖する過程が、富を有するために必要な情報をタイムリーに得るという情報と情報処理の格差によって歪められているという不信感が社会的な連帯を傷つけているのです。
范蠡は巨富を二度も友人などに分け与えましたが、自主的に分け与えたのです。累進課税は、ややもすると自主的な善意を奪い取ることになります。累進課税でも、喜んで納税するには、強制的に徴収された税金が真に善用されることです。

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