コンサルタント弁護士・籔本恭明(やぶもとやすあき)
経営の視点
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使用者の懲戒権の根拠
使用者の懲戒権の根拠
作成:2015年1月9日(金)
所謂関西電力事件で最高裁昭和58年9月8日第一小法廷判決は、「労働者は、労働契約を締結して雇用されることによって、使用者に対して労務提供義務を負うとともに、企業秩序を遵守すべき義務を負い、使用者は、広く企業秩序を維持し、もって企業の円滑な運営を図るために、その雇用する労働者の企業秩序違反行為を理由として、当該労働者に対し、一種の制裁罰である懲戒を課することができる・・・」と判示しています。
使用者の懲戒権の根拠については、本件判例のような使用者が労働者に対して固有権として有するとする固有権説と、規則に定めることによって懲戒権が発生するとする契約説があります。
固有権説においても、就業規則の規定と周知を懲戒権の行使要件とするので、契約説と大きな相違はないと言われています。
しかし、労働者の秩序違反行為の後に就業規則の規定整備と周知が行われても、固有権説では懲戒権の行使を認める余地があること、契約説では小規模事業所等就業規則がない場合に懲戒権がないために普通解雇または損害賠償等による紛争解決を余儀なくされる等、その違いは小さいと言い切れません。
判例の考えでは、労働契約における当事者の合理的意思において、懲戒権を包含した関係を前提とされていると考えられます。

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