コンサルタント弁護士・籔本恭明(やぶもとやすあき)
経営の視点
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ダールの「ポリアーキー」で考える香港民主運動
ダールの「ポリアーキー」で考える香港民主運動
作成:2014年10月22日(水)
政治学を学んだ人は、ロバート・ダールの「ポリアーキー」を読んでいると思います。
本書は、民主主義への道のりを、「自由化(liberalization)」と「政治的参加(participation)」の二つの軸から分析するものです。
民主主義は、自由化、とりわけ言論の自由と政治的参加の二軸が実現した社会だと考えます。
反政府的言論の自由化が先行してから、後に政治的参加、参政権が拡大していくケースもあれば、政治的参加が先行してから、反政府的言論の自由化が進むケースもあります。
今回の香港の民主化は、大変複雑です。
大陸では、すでに経済活動は自由化されているといえますが、ダールが自由化として定義するような反政府的な言論の自由はなく、政治的参加も認められていません。
香港でも、同様なのです。
深刻なのは、経済的自由化が先行しているため、経済的格差が、自由化運動の足枷になっているということです。
多くの学生は、すでに経済的に恵まれている環境にあります。
報道もされていますが、学生の民主化運動によって商売ができないと地元商店の人は民主化に反対なのは、経済的に学生ほどには恵まれていないから、「民主化によって今日の生活が脅かされてはたまらない」からでしょう。
すなわち、民主化の要求は、経済的に恵まれている人たちが要求しているのであって、そうでない人は、民主化より今日の生活の維持が本望なのです。
本来は、民主的参加によって、経済的格差が是正されるので、民主化は経済的格差の是正と密接不可分なのですが、この実現のプロセスには時間がかかるし、なにより、民主化によって経済的格差が是正されるという制度的信頼が前提です。
政治的参加への要求の度合に関して、すでに香港社会は経済的二極化によって足並みがそろわないのが現状です。
大陸との相違は、香港では経済二極化の下位層が十分に生活できるために今の生活を守ろうと考えているのに対し、大陸ではそのような層が受忍限度に達しているということでしょう。
いずれにしても民衆の二極化によって大きな統一的な社会運動に発展しないことが共通項だといえるでしょう。

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