コンサルタント弁護士・籔本恭明(やぶもとやすあき)
経営の視点
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ドイツのエネルギー政策の壁
ドイツのエネルギー政策の壁
作成:2013年2月21日(木)|更新:2013年6月20日(木)
ご存じのように、ドイツでは、太陽光、風力、バイオ等、所謂再生可能エネルギーに対する助成金が上乗せされているため、電気料金が高くついています。
国際競争力を維持するために、このような助成金は、大企業には免除されているため、一般消費者に負担がのしかかっています。
このため代替エネルギーは政治の分裂を招きつつあります。
我が国でも、太陽光によって発電されたエネルギーを強制的に買取らせる制度のために、結局は一般消費者に負担が転嫁されています。
我が国は原子力発電を再稼働したばかりに、1979年以来最大の貿易赤字に陥っています。
早急に、代替エネルギーの買取り制度を見直す必要があります。
さて、ドイツで、エネルギー政策の壁と言われているのが、州を越えた送電網が造れないということです。
州の権限が強いためです。

しばしば道州制に対する批判として、米国でも州を跨いで鉄道を通す負担が大きいなど、州を越えたインフラ整備が困難であることが挙げられます。
四大交流圏構想を提唱されている藤井京大教授が、道州制に反対されていることも腑に落ちます。
以前にも書かせて頂きましたが、公共インフラ整備のためには、公共の福祉による私権の制限を強化する必要があります。
私は、道州制に賛成なのですが、これは、四大交流圏に反対する趣旨ではありません。
道州制に賛成するのは、地域の経済発展のために地域の知恵を最大限活用する仕組みだからです。
四大交流圏のように、全国的なインフラ整備は必要です。
全国的なインフラ整備なくしては、人口減少過程にある我が国において、地方単独の発展はありえないからです。
我が国のエネルギー政策には、原子力発電の再稼働と同時に、ロシアからのパイプラインによるガス供給など、地方単独ではなしえない施策が求められます。
原子力発電の制御は国家の関与が必要です。
ロシアからのパイプラインの管理は、一地域ではできません。
使用済み核燃料は、我が国の領土である北方領土に永久凍結できるようロシアと交渉する余地があります。
これなど、一私企業ができるものではありません。
米国のシェールガス技術によって、世界的にガス価格が低下することが予想され、ガス輸出によって経済を支えているロシアにとって、ロシアの天然ガスをパイプラインを造って長期的に買ってくれる我が国は魅力的な存在に移るでしょう。
このガス買取りのバーターとして、北方領土に使用済み核燃料処理を造ることは可能性があると思います。
また、我が国はロシアとの連携を強化することが、対中国政策にとってもカードを増やすことのなるでしょう。
地域に任せられることは地域へ、全国的に実施するべき施策は国家が担当しなければいけません。
道州制による地域間競争を促す仕組みと同時に、全国的なインフラ整備を求めることは矛盾するものではありまえん。
ドイツのように州の主権を認めると、全国的インフラ整備が進展しません。
ドイツのエネルギー政策の壁から、我が国は学ぶことが沢山あります。
太陽光エネルギー買取り制度廃止に向けて、買取り価格を漸次低減していくことが必要です。
道州制を導入するにせよ、全国的インフラを整備する必要があります。
いま、アベノミクスで株価は上昇し、円安に振れています。
しかし、エネルギー輸入のため大きな貿易赤字を抱えてしまっては、円安効果が裏目に出るでしょう。
ここは我が国の財政危機を回避するためにも、参議院選挙前後に、ドイツのエネルギー政策の壁を他山の石として、エネルギー政策の見直しを期待します。

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