コンサルタント弁護士・籔本恭明(やぶもとやすあき)
経営の視点
経営の視点
番頭養成塾(1)
番頭養成塾(1)
作成:2012年5月2日(水)
番頭育成の必要性
企業が成長するか衰退するかは経営者の責任です。しかし、企業が大きく成長するには、経営者一人の力では限界があるのも明らかです。経営者の力量の一つとして、いかに協力者・賛同者を獲得するかがあります。
大きく財閥と呼ばれる程成長した企業には、これを支えた番頭さんがいました。
これは、我が国だけのことではありません。
企業経営をされている皆さまは、事業承継を考える上で、後継者の育成・選定には多大な尽力をされていると思います。
それと同様、もしくはそれ以上の精力を注ぐべきは、番頭の育成、とりわけ、後継者を支える番頭の育成です。

番頭に必要な知識と技術
番頭に必要な知識と技術を考えて参りましょう。
いい経営をする上で必要な知識と技術が明確にできれば、後継者が足りない部分を番頭が補えばよいのですが、これにとどまらず、経営者に慢心が生まれないよう忠言・諫言申し上げる力量と胆と技術が番頭に求められます。
いい経営をするには、戦略と組織人事と業務プロセスのそれぞれが、顧客満足を最大限満たすとともに、従業員の生き甲斐の場所を提供し、同時に経営の安定性が図られるものでなければなりません。
この戦略と組織人事と業務プロセスを前に向けて推し進めるのがリーダーシップです。
組織において、リーダーの数はフォロワ―の数より圧倒的に少ないわけですから、リーダーシップの問題は、裏を返すとフォロワ―シップの問題でもあります。
フォロワ―のモチベーションを如何に上向けるかが、収益性と密接に結びついています。リーダーの役割は、フォロワ―のモチベーションを維持し、自ら問題を発見し、自ら問題を解決し、創造力を働かせて最大限顧客価値を提供するよう仕向けることにあります。
このような経営の全体像を眺めた上で、経営者が自ら直接携わらない部分を任せることができる人材が「番頭」と呼ばれるべきです。
そうすると、番頭に必要な知識と技術を整理してみると、
1)戦略立案の知識・技術
2)組織人事の知識・技術
3)業務プロセスの知識・技術
4)リーダーシップの知識・技術・徳性
5)上記要素を有機的一体に機能させる知識・技術
が必要ということになります。
戦略立案について後に掘り下げますが、マクロ経済の知識が不可欠なので、経済学に関する基礎知識も要求されます。
戦略を評価する際、および、業務プロセスの効率性を評価する際、財務の知識、会計の知識が要求されますので、これも必要です。
本来、リーダーシップは組織内部に対して働かせるものですが、組織リーダーとして対外的に役割を果たす必要に迫られることがあります。そこで、交渉術が要求されます。
このように見て来ると、番頭に要求される知識・技術は経営者のそれに匹敵します。
しかし、番頭と経営者とは根本的に違います。
番頭は、あくまで黒子であって、「経営者より目立たない立場に徹すること」が求められます。
このあたりは司馬遷の史記に斉の晏嬰は、主君の景公が宮殿の造影を命じ工事が難航し凍死するものが続出しました。晏嬰は景公を遠回しに諌め、工事を中止させましたが、早速工事現場に駆け付け鞭をとって人夫に工事を急ぐよう叱咤しました。皆が晏嬰に恨みを抱いたところ、景公からの工事中止の知らせを受け、人民は晏嬰を恨み、景公を崇めます。
番頭にはこのような人間性の機微を読む心が求められます。

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