コンサルタント弁護士・籔本恭明(やぶもとやすあき)
経営の視点
経営の視点
今回の診療報酬改定は、経営者がかじを切れるように「予測可能性」が担保されているか?
今回の診療報酬改定は、経営者がかじを切れるように「予測可能性」が担保されているか?
作成:2012年4月11日(水)|更新:2013年5月14日(火)
4月号の日経ヘルスケアは、厚生労働省保険局医療課長の鈴木康裕氏へのインタビューを掲載しています。その中で、鈴木氏は、「医療機関の経営者が将来に向かってかじを切っていけるよう、政策の方向性に関する予測可能性を重視し一定のメッセージを込めた。」と答えています。

今回の改正では、現在33万床に膨れ上がった看護配置7対1の一般病床を絞り込むために、重症患者の受入れ率を15%以上になりました。2025年ロードマップに示されているように、7対1病床33万床を高度急性期病床18万床にまで減少させる予定です。この方針は、大学病院や公的病院が高度急性期を担うことが前提となっている考え方です。「予測可能性」というのは、できる限り重症患者を受け入れて重症患者15%が維持できるかどうか予測できるだろうという意味でしょう。大学病院や公的病院では、重症患者割合を維持するために、重症患者以外の患者を断るか短期間に後方支援病院に搬送する方針を取らざるを得ないでしょう。しかし、これは救急医療のセンター化とは逆の方向性だと思われます。センター化とは、特定の疾患についてはそこで集約的に受け入れるから「センター」の名に値するのです。看護配置という人的基準と看護必要度で診療報酬に絞りをかける戦略は、センター化と矛盾をはらんでいるのではないでしょうか。更に言えば、高度急性期病床が、予定されているような高額の診療報酬を付けてもらえるか心配です。現在の日本の財政構造から来る社会保障全体に対する不安が、予測可能性を妨げていることは間違いありません。

  このエントリーをはてなブックマークに追加
経営の視点に関する詳細や関連記事はこちらに御座います。併せて御覧ください。