コンサルタント弁護士・籔本恭明(やぶもとやすあき)
経営の視点
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上司に傾聴だけを強いるコーチング研修は危険
上司に傾聴だけを強いるコーチング研修は危険
作成:2011年1月27日(木)
「傾聴とは、心を傾けて聞くこと。相手の言いたいことを丁寧に、じっくり聴くことだ。」
コーチング・ブームで上司は、部下の言葉を「聴く」ことを強いられます。
もちろん、部下の言葉に耳を傾けることは大切です。
昔、陸軍士官学校を次席で卒業し、大本営作戦本部参謀となり、11年のシベリア抑留を経て、後に伊藤忠会長になった瀬島龍三さんの幾山河を読んだことがありますが、その中に、部下の役割は、主体(上司)の負担を軽減することだとの趣旨が書いてありました。
私自身、コーチングの研修の際には、「傾聴」の必要性を説いております。
しかし、その際に必ず申し上げるのは、傾聴の前に、部下が要領よく報告できるように指導・教育することです。
上司は、様々な問題に対応しなければなりません。
部下の報告を聞く際にも細心の注意を払っております。
しかし、その部下の報告が要領を得ない、何がいいたいかわからないのに、上司に傾聴だけを強制すると上司が疲れきって、正しい判断ができなくなります。
上司は、傾聴することが役割ではありません。
部下が、企業、組織を通じて社会に貢献するように仕組みをつくることが役割です。
ですから、コーチング指導も大切、傾聴も大切ですが、まずは、部下が大切なことは何かを判断できるよう指導・教育し、要領よく、上司に負担をかけないように適宜報告できるように指導することが大切だと思います。
管理の「管」は、辞書で引くと「竹の筒、転じて、貫く、貫き通す」とあります、「理」は「ものの道理、ことわり」です。
すなわち、「管理」とは、ものの道理を貫くように、道理に従って部下を動かすという意味になりましょう。
貞観政要では、名君である唐の太宗が、部下の言を傾聴して、よき政治を行ったことがみごとに描かれています。
しかし、当時、太宗にもの申すのは、相当の覚悟があったはずで、要領の得ない上申ではなかったであろうことを考える必要があります。(以上、日本時事評論「弁護士・籔本の視点」から抜粋)

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