コンサルタント弁護士・籔本恭明(やぶもとやすあき)
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事業承継(その4)次世代のファミリーに経営を譲渡することはファミリー企業の条件か
事業承継(その4)次世代のファミリーに経営を譲渡することはファミリー企業の条件か
作成:2016年3月30日(水)
事業承継(その4)次世代のファミリーに経営を譲渡することはファミリー企業の条件か
ファミリー企業研究で有名なデニス・ケニョン・ルヴィネとジョン・ウォードは、「次世代のファミリーに経営を譲渡するつもりでいること」をファミリー企業の要件として挙げています。
しかし、次世代のファミリーに経営を譲渡する意思があるかどうかなど、外部から判然としません。もしかしたら経営者自身決めかねているかもしれません。もともとは譲渡する意思があっても、ちょっとした口論がきっかけとなって、譲渡する意思を無くしてしまうかもしれません。
経営をファミリーに譲渡する意思があることを、ファミリー企業の要件とすることは適当ではないと思うのです。
私がインタビューしたファミリー企業の執行役員さんの話ですが、そこの社長は息子に経営を譲りたいと考えていることは、社長の態度から明らかだそうです。しかし、いつも社長は、みんなの手前、「息子には会社を譲らない。」と言っているというのです。
その執行役員さんが言うには、「どうやら、社長の本心は、役員が揃って『どうか息子さんを次の社長にしてください。』と言ってくるのを待っているようだ。」との話でした。
そこで、デニス・ケニョン・ルヴィネ先生とジョン・ウォード先生のように、「次世代のファミリーに経営を譲渡する意思があること」を、ファミリー企業の定義からは除外して考えることにしましょう。
しかし、後に述べるように、ファミリー企業の分析には、「所有」と「家族」と「経営」という3つの視点があります。経営者が所有しているものは、いずれ相続されるのですから、経営を譲渡しない意思を有している場合には、第一は、会社を上場させて持ち分をファミリー以外に分散させる方法、第二は、会社の持ち分をファミリーに相続させるが、経営には直接的に関与せずプロフェッショナル経営者に経営を任せる方法、第三は、ファミリーは資産管理会社の持ち分を持ち、「君臨すれども統治せず」、資産管理会社を通じて睨みを聞かせる方法があります。
このような場合には、もはや純然たるファミリー企業とは言えないでしょう。
やはり、ルヴィネとウォードのように、「次世代のファミリーに経営を譲渡する意思があること」をファミリー企業の要件にするのではなく、「承継者は非同族者から選ぶことが明確な企業」をファミリー企業から除外する考えがよいと思うのです。

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